東京地方裁判所 昭和53年(特わ)1553号 判決 1978年10月27日
被告人
本店所在地
東京都豊島区池袋二丁目三番地
日の丸観光株式会社
(右代表者代表取締役 山本公正)
本籍
東京都中野区松が丘一丁目二、一二二番地
住居
同都中野区松が丘一丁目一六番三号
職業
会社役員
山本公正
昭和六年六月二三日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官五十嵐紀男出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告会社日の丸観光株式会社を罰金二、二〇〇万円に、被告人山本公正を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人山本公正に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、東京都豊島区池袋二丁目三番地に本店を置き、キャバレーの経営などを目的とする資本金三〇〇円の株式会社であり、被告人山本公正は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人山本は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和五〇年六月一日から同五一年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一二、四〇一、三三二円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同都同区西池袋三丁目三三番二号所在の所轄豊島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額四、一〇一、七〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れ
第二 昭和五一年六月一日から同五二年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二〇六、三五七、九六六円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五二年七月三〇日、前記豊島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度の正規の法人税額八一、六四五、五〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示冒頭の事実及び全般にわたり(甲乙番号は検察官証拠請求番号を示す)
一、被告人の当公判廷における供述
一、同じく収税官吏に対する各質問てん末書(八通)(乙1ないし8)
一、同じく司法警察員に対する供述調書(乙9)
一、同じく検察官に対する各供述調書(二通)(乙10、11)
一、東京法務局登記官作成の被告会社登記簿謄本(甲34)
一、収税官吏の小松克彦に対する質問てん末書(甲28)
一、小松克彦の検察官に対する供述調書(甲29)
一、宮本信子の検察官に対する供述調書(甲31)
一、田内利吉の検察官に対する供述調書(甲32)
判示第一、第二の各事実添付の別紙(一)、(二)の修正貸借対照表に掲げる各勘定科目過年度金額欄及び当期増減金額欄記載の数額につき
<現金につき>
一、収税官吏田頭良一作成の現金調査書(甲1)
一、増田斎作成の申述書(甲2)
一、西武信用金庫新井薬師駅前支店古谷肇作成の証明書(甲3)
一、大和銀行新井薬師支店高井保作成の証明書(甲4)
<預金につき>
一、収税官吏田頭良一作成の預金残高および受取利息調査書(甲5)
一、前同古谷肇作成の証明書(甲3)
一、前同高井保作成の証明書(甲4)
一、収税官吏の山本良子に対する各質問てん末書(二通)(甲26、27)
<貸付金につき>(昭和五二年五月期のみ)
一、収税官吏田頭良一作成の貸付金及び貸倒金調査書(甲6)
一、江川昭夫、加藤博久、山口徹の各回答書(三通)(甲7、8、9)
<建物附属設備につき>(昭和五二年五月期のみ)
一、収税官吏田頭良一作成の建物附属設備調査書(甲10)
一、有限会社晴見建設、(株)トータルインテリヤ司の各回答書(甲11、12)
一、収税官吏の小松克彦に対する質問てん末書(甲28)
一、小松克彦の検察官に対する供述調書(甲29)
一、検察官岡崎芳高作成の捜査報告書(甲30)
<什器備品につき>(昭和五二年五月期のみ)
一、収税官吏田頭良一作成の什器備品調査書(甲13)
一、(株)トータルインテリヤ司の回答書(甲12)
一、星電商事株式会社の回答書(甲14)
一、収税官吏の小松克彦に対する質問てん末書(甲28)
一、小松克彦の検察官に対する供述調書(甲29)
一、検察官岡崎芳高作成の捜査報告書(甲30)
<仮払源泉税につき>(昭和五二年五月期のみ)
一、収税官吏田頭良一作成の仮払源泉所得税額調査書(甲15)
一、前同高井保作成の証明書(甲4)
一、収税官吏田頭良一作成の預金残高および受取利息調査書(甲5)
一、山本良子の収税官吏に対する各質問てん末書(二通)(甲26、27)
<未払費用につき>(昭和五二年五月期のみ)
一、収税官吏田頭良一作成の未払費用調査書(甲16)
<借入金につき>
一、収税官吏田頭良一作成の借入金調査書(甲17)
<借受金につき>(昭和五二年五月期のみ)
一、収税官吏田頭良一作成の仮受金調査書(甲18)
一、山本良子の収税官吏に対する昭和五三年二月一日付質問てん末書(甲27)
一、前同古谷肇作成の証明書(甲3)
一、前同高井保作成の証明書(甲4)
<未払源泉税につき>(昭和五二年五月期のみ)
一、収税官吏田頭良一作成の未払源泉所得税調査書(甲19)
一、山本良子の収税官吏に対する昭和五三年二月一日付質問てん末書(甲27)
一、前同古谷肇作成の証明書(甲3)
一、収税官吏田頭良一作成の預金残高および受取利息調査書(甲5)
<負担金につき>(昭和五二年五月期のみ)
一、収税官吏田頭良一作成の負担金調査書(甲20)
一、石川泰子作成の申述書(甲21)
<未納事業税につき>(昭和五二年五月期のみ)
一、収税官吏田頭良一作成の未納事業税調査書(甲23)
<繰越欠損金控除につき>
一、収税官吏田頭良一作成の借入金調査書(甲17)
一、同じく公租公課調査書(甲22)
一、押収してある被告会社の昭和五〇年五月期分、昭和五一年五月期分、昭和五二年五月期分各確定申告書各一綴(当庁昭和五三年押第一四八八号符一、二、三)
別紙(一)、(二)修正貸借対照表に掲げた公表金額及び過少申告(欠損申告)の事実について
一、押収してある被告会社の昭和五一年五月期分、昭和五二年五月期分各確定申告書各一綴(前同押号符二、三)
(法令の適用)
被告会社につき
いずれも法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項。
被告人につき
いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)。同法二五条一項。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 松澤智)
別紙(一) 修正貸借対照表
日の丸観光株式会社
昭和51年5月31日
<省略>
別紙(二) 修正貸借対照表
日の丸観光株式会社
昭和52年5月31日
<省略>
<省略>
別紙(三) 税額計算書
日の丸観光株式会社
事業年度
(50.6.1~51.5.31)
<省略>
事業年度
(51.6.1~52.5.31)
<省略>